今回は、運用者の90%の方が誤解している、Adwordsにおける検索クエリとKWと広告文の関係性についてまとめ、
そのAdwords内の仕組みから最適なアカウント構造について考えたいと思います。
■検索クエリは広告をまず確認する
Adwordsのプラットホームにおいて
ユーザーがGoogleの検索窓に何らかの検索クエリを入力した際、
アカウント内でまず反応するのは、キーワードではありません。
検索クエリは、まず広告を探します。
Googleのオークションのヘルプでは、仕組みが以下のように記載されています。
以下引用します。
オークションの仕組みは次のとおりです。
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ユーザーが検索を行うと、その検索内容と一致するキーワードが設定された広告がすべて検出されます。
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これらの中から、掲載対象とならない広告が取り除かれます。たとえば、別の国をターゲットに設定している広告や不承認の広告などです。
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残った広告の中で広告ランクが十分に高いものだけが表示されます。広告ランクとは、入札単価や広告の品質、広告表示オプションやその他の広告フォーマットの見込み効果に基づく指標です。
簡単にいうと
- アカウント内の広告(そのクエリが反応するKWを含む広告グループ)をすべてリストアップ
- 除外キーワードなどで諸々ドリップ作業
- 広告ランクが高いものを選択する
のような流れです。
ここで注目したいのは①の部分です。
その検索内容と一致するキーワード
とあります。
Google検索を運用している方なら経験があると思いますが
マッチタイプで「部分一致」を選択しているキーワードだと、かなりの検索クエリまで拡張します。
例えば、
KW | クエリ |
生命保険 | メット ライト アリコ |
有田焼 | 上田 さん 有田 さん 優しい |
車を売る | 鉛を売る |
ヒップホップ | たれ 尻 ヒップ アップ |
Googleのクエリの拡張性を前提に考えると、キーワードで考えるよりもまず
「検索クエリ」を元に考え、それに適する「広告文」を見つけるというプロセスの方が自然ではないかと考えています。
(有る程度データが溜まってからになるかと思いますが)
以上をもとに考えると
①Adwordsは、検索クエリが入力された時、まずそのアカウント内において、その検索クエリで最も成果の良い広告文を探します。 |
②最も成果の良い広告文の、広告グループの中にあるキーワードを参照します。 |
③その広告グループの中で、最もマッチタイプの合致率が高い、あるいは品質スコアの高いキーワードが選定されます。 |
④そのキーワードをトリガーとして、その広告が、掲載に向けて広告オークションへ参加します。 |
※考えやすくする為に、ユーザーの情報やデバイスなど付帯状況はすべて捨象しています。
よくいう「広告の関連性」は、図の赤い網掛けの中の関係性において算出されると考えられます。
キーワードについてのGoogleヘルプをみると
キーワードやランディング ページが、顧客が検索する可能性のある語句と密接に関連しているか確認したり、広告の掲載先が顧客がアクセスしそうなウェブサイトになっているか確認したりすることが大事
とあります。
つまり検索クエリを出発点として、キーワードや最終リンク先URLが関連性があるかどうかを測っているといえそうです。
■運用にどう生かすのか
検索クエリ⇒広告 の流れになっているのならば
どの検索クエリがどの広告に反応しているのか、確認することが必要となります。
Adwordsの管理画面であれば、「広告」タブ ⇒ 「分割」⇒「キーワード/プレースメント」で、
広告文単位で、どの検索クエリに反応しているのか分かります。
(黄色の部分です)
複数広告文を入れている広告グループなら、
「この検索クエリでこの広告文のCTRが高いのか・・・」
⇒「じゃあ、個別に広告グループを立ち上げて、そちらで配信を行うか」
⇒「LPの訴求に、そのクエリの内容もいれてみるか」など拡がりが生まれます。
■広告文のABテストの落とし穴
例えば、部分一致キーワード「お歳暮」がある広告グループの中に2本の広告文があったとします。
- 「お歳暮なら送料無料の●●」という送料無料訴求の広告文
- 「お歳暮なら●●/公式」という公式訴求の広告文
そして配信してみたら以下のような結果でした。(CTRで最適化の設定で配信してみました)
「あれ、公式訴求の方がCTR高いのに配信されなくなっちゃっている・・・」という事象をよく目にすると思います。
これは検索クエリレベルで、広告文の出し分けがされているからです。
以下、管理画面で詳細のクエリをみてみました。
「お歳暮」という単クエリに対しては、送料無料訴求のほうがCTRが良いので(良いと仮定します)、送料無料のほうが掲出されています。
ただ、単ワードで、競合も多いので、CTRが頑張って1%です。
一方、「お歳暮 百貨店」などの掛け合わせクエリでは公式訴求の方が良いので、公式のほうが配信されています。
こちらはCTRが若干良くて1.3%程度です。
つまり、広告グループ内で、それぞれの検索クエリで、広告文の最適化が行われている
=ここで安易に1本の広告文(この例でいうと公式訴求ですね)に絞ると、全体の広告成果の悪化を招くということです。
(経済学で言うと、比較優位説です)
また、1つの広告グループには複数(2~4本程度)の広告文を入れよう!(だってGoogleのほうで検索クエリ単位で自動的に最適化してくれるから)
ということもいえます。
これはGoogleAdwordsの提唱する、GORINプロジェクトの内容にも関わってきます。
■まとめ
ここまでの検討から、1広告グループに部分一致を含む複数のキーワードを入稿して、Adwords側に検索クエリ単位で出し分けしてもらうという方法が
簡単且つ、効率的且つ、最大成果が出せそうです。
前提として、
- データがうまく溜まるキーワード群である
- 部分一致や絞込み部分一致が入っている(完全一致だと、クエリの拡がりはほぼ無いため)
という点は必要です。
人間が初期構成を設計しなければ、機械学習はうまく進みません。
人の頭で、仮説立ててアカウントを設計・構築した上で、検索クエリを見ながら、広告グループを作り変える。
あるいは、1広告グループに主なキーワードを突っ込んで、最適化をお任せするのがこれからのやり方になるかもしれません。