リスティング運用者、オペレーションに直面している担当者は常にアカウントの改善、改良を重ねることが求められています。
ただ、リスティング運用を始めてしばらく経つと、
『このアカウント、やれることはだいたいやり尽したな…』と思ってしまうこともしばしば。
週次レポートや月次レポートの際に、改善策や新たな提案が浮かんでこないこともあると思います。
そんな時こそ“初心”に戻って、アカウントの分析を行うべきだと筆者は考えています。
この記事では、筆者が20以上のアカウントを1年運用してきて、必要だと考えたメンテナンス事項・分析項目を
リスク・重要度・チェック頻度の観点から 大・中・小 でまとめています。
【大】(必ずチェックすべき。毎日・数日単位でのチェック推奨)
●デバイス比率の調整(PCとSPとタブレット)
…PCとSPは成果に差が出やすく、調整は必須です。
この1年間でSPの利用比率も格段に上がっており、以前の設定のままのアカウントがあれば真っ先に見直しをおすすめします。
また2016年末からGoogleAdwordsではタブレットの比率も調整可能となり、この点も見逃せません。
●Imp(表示回数)のチェック(配信されているか)
…そもそも配信されていない状況です。
入稿後、安心してそのままにしていたら、KW・広告文・バナー画像・リンク先URLなどが不承認で配信されていなかったということが多いです。
また配信後、媒体のガイドライン違反でサイトの強制停止が行われ、配信が突然無くなることも。(GoogleAdwordsが主)
●CVのチェック(発生しているか)
…そもそもCVが1件も発生しない状況が出てくる場合があります。
配信開始直後であれば、CVタグの不具合 が主に考えられます。(CVタグがそもそも入っていない、設置場所が間違っているなど)
配信開始してしばらくの時であれば、リンク先のサイトの改修などに伴うCVタグの不具合が主に考えられます。
●キャンペーンの予算が上限キャップに達していないか
…上限に達している状態は、広告の機会損失を意味します。
①下部の広告グループやKWの入札抑制などを図る
②予算上限を上げる
の2種の対応が考えられます。
【中】(週~月単位で見直したい)
●曜日・時間帯での調整
…GoogleAdwords・Yahoo!スポンサードサーチでは、入札比率による配信が可能です。(YDNは指定時間帯のみ配信停止が可能です)
商材によりますが、主に深夜帯に成果が悪くなるアカウントが多いので要チェックです。
※管理画面上の注意点ですがYahoo!スポンサードサーチの場合、
調整した時間帯以外も、入札比率0%で設定をしておかないと、調整した時間帯以外の配信が外されてしまいます。
●検索広告 キーワードの除外設定
…検索広告において、想定外の検索クエリからの流入で、コストが増大してしまうこともしばしば。
CVに結びつかないであろう検索クエリは除外の設定を行います。
●検索広告 キーワードの引き上げ設定
…検索クエリを分析した際に、CVが多数発生しているのに、その検索クエリを部分一致やフレーズ一致のマッチタイプのKWで拾っている場合、
完全一致のKWを入稿し、適切な入札価格を設定することで、広告成果を最適化することができます。
●ディスプレイ広告 配信先の除外設定/配信先の引き上げ設定
…上記に記載したキーワードの考え方と同じです。
成果の悪い配信先URLは除外し、成果の良いURLは個別で設定を行うべきです。
【小】(必ず一回は見直すべき)
●IPアドレスのチェック
…GoogleAdwordsでは広告を表示するIPアドレスの除外設定が可能です。
検索広告では、競合や調査会社のクリックがコスト要因となっている場合もあり見逃せない点です。
他のアクセス解析ツールを活用し、IPアドレスの分析・除外を行うべきです。
●Google 動的検索広告の検索クエリ
…会社概要や住所、電話番号などで流入してしまうユーザーが多いです。
ここはきちんと除外設定しましょう。
また、別のキャンペーンや広告グループで設定しているはずのKWを動的検索広告で拾ってしまっている場合もあります。
その場合は除外設定や、別のキャンペーや広告グループ側の入札設定を調整します。
●ディスプレイ広告 フリークエンシーキャップの設定
…YDN・GDNでは同一クッキーを持っているユーザーに対して、広告表示の回数を制限することが可能です。
過剰に広告を表示するとユーザーが逃げてしまうと考えられ、適切なフリークエンシーの設定が求められます。
フリークエンシーレポートで、広告表示回数別のユーザーの広告成果を分析することができるので、それを元に適切な設定を行います。
※ただ一説では、『嫌がるユーザーはクリックしない。クリックするユーザーは一定のCVの確度を持つユーザーだ』という言説もあり、検討が必要です。
個人的には、ほどほどのキャップの設定がよいのかなと、これまでのデータ分析の経験から考えています。
●検索広告 運用しているキーワードの見直し
…最低でも3か月~6か月単位で、入稿しているキーワードを見直したいです。
- ほとんど表示されていない検索KW
- 部分一致でCV獲得多数のKW
を重点的に見直します。
●検索広告 掲載順位の分析
…例えば1~2位の掲載順位の広告成果と、4~5位の掲載順位の広告成果は、大きく傾向が違う場合があります。
一般的には、掲載順位がよいほど、CV数が増えると思われがちですが
掲載順位が高くても、上位表示がためにニーズが曖昧なユーザーの流入が増えCPAだけ増大しCV数は変わらずという事例もあります。
また、CPCとCTRのコスパの良い、いわゆる掲載プレミアム枠の最下部を狙いに行くという戦略もあります。
この観点も商材・KWによって傾向が変わってくるので、詳細な分析が必要です。
●配信地域の見直し
…検索広告、ディスプレイ広告ともに可能です。
GoogleAdwords・Yahoo!スポンサードサーチでは、地域別の入札比率の設定が可能です。
【番外編】新規でアカウントを開設した際にチェックすべき項目
●入金されているか
…Yahoo!では前金制のシステムなのできちんと入金をしましょう。入金しないと広告配信されません。
手動入金で行っている場合、残高にも注意しましょう。
●KW、広告文は入稿されているか
…どちらかを忘れてしまっていることがあります。きちんと見直しましょう。
●トラッキングパラメータは入ってるのか
…Googleアナリティクスの分析やウェブアンテナ、アドエビスなどで活用することが多いです。
Yahoo!、Googleで分けなければいけないのに、そのまま同じパラメータを入れてしまうこともあるので注意です。
●YDNの画像審査
…GDNは比較的早く審査が終わり、管理画面上にも分かりやすく表示されますが、
YDNは画像審査状況のページまで確認しにいかないとわからない管理画面構造で忘れがちです。
また予想外の理由での審査落ちも結構な割合であります。入稿後、2、3営業日後のタイミングで必ず見直しに行きましょう。
【まとめ】
今回はどのアカウント・どの商材にも当てはまることが多い項目に絞りましたが、
RLSAのリスト見直しや、YDNのサーチターゲティングのKW分析など行っているメニューによってメンテナンス項目は多岐に亘ります。
メンテナンスの際に最も注目すべきは、『数値の変化』だと筆者は考えています。
先月より・先週より、 増えたのか、減ったのか、何が要因なのか、それを元にどんな施策・どんな対応策・どんな提案が考えられるのか。
その際に、視覚的に分かりやすく活用できるツールが グラフ機能 です。Googleの管理画面では、前期間との比較もでき、簡単に傾向をつかむことができます。
自分の運用するアカウントの現状からみて、どの施策が一番インパクトがあるのか、優先順位を付け、順を追って対応することが求められています。
こちらもよかったらみてみてください。施策・メニューの視点から洗い出しを行っています。