前々から興味があったICL(眼内コンタクトレンズ)手術をこないだ行いました。
手術は術後良好で、現在、見えるようになったその眼で記事を書いています。
ICL検討の過程と、術後数日経ったリアルな記憶をまとめたいと思います。
※本記事はICL手術後数日時点での個人的な体験記になります。
内容については重々注意して執筆しておりますが不正確な情報を含む可能性もあるので、ICL手術を検討される場合は専門医との相談をおすすめします。
目次
ICLとは
ICLは、近視や遠視、乱視などの視覚障害を改善するための手術方法です。
簡単にいうと、眼の中にレンズを埋め込みます。虹彩と呼ばれる目の筋肉と、水晶体の間に隙間があり、そこにレンズを差し込みます。
(引用:長岡眼科医院)
ICLは虹彩の裏側(後房)で固定されるため外見的には分かりません。
レンズ自体は柔らかい素材で、実際の手術では3mm程度の切開部分から畳んだレンズをインジェクター(注射器)で送り込んで、中で開き位置を整える調整を行います。
ICLという名称は、STAAR surgical社(https://staar.co.jp/)が1994年に開発した有水晶体眼内レンズの名称です。日本では2003〜2004年に青山にある山王病院(https://www.sannoclc.or.jp/hospital/)で臨床治験が行われ、その後2010年に国内において厚生労働省の認可を得た唯一の有水晶体眼内レンズです。
また2010年頃からholeICLという穴あきのレンズ(上記画像)へ改良・置き換わってきており、従来必要だった交際切除が不要となり、合併症(眼圧の上昇や白内障の発症)のリスクが低減しています。
スケジュール
施術医院によりますが、
●事前検査
●レンズ取り寄せ(2週間程度)
●手術
●術後診察(当日、翌日、1週間後、1ヶ月後…)
という流れなので、早ければ思い立って3週間程度で施術できるかと思います。
私は初回検診から約1カ月後手術を組みました。
施術自体は片目15分程度です。
麻酔のおかげで目の痛みは無かったです。ただ特有の違和感や怖さはありました。(私の施術した医院では、手術前に抗不安薬を渡されました)
レーシックとの比較
視力を回復させる手術としてはレーシックが有名だと思います。
レーシックは、眼の表面にある角膜をエキシマレーザーで削り、角膜の形状を変えることによって近視・遠視・乱視を矯正する屈折矯正手術です。ICLは先述のように眼の中にレンズを埋め込む手術です。
ICL | レーシック | |
歴史(厚労省認可が下りた年) | 2010年 | 2000年 |
病気リスク | 低い | 低い |
ドライアイリスク | 低い | 一定ある |
ターゲット | 視力が悪い(度数−6.0未満)人でも施術可能 | 視力が悪い(度数−6.0未満)人だと、近視へ戻るリスクがある |
金額 | 70−80万円程度 | 30万円程度 |
不可逆性 | あり(元に戻せる) | なし |
ハローグレア現象(光源の視認時、光の輪がみえる) | あり | あり(ICLよりある) |
個人的には不可逆性が大きかったです。
何かあれば、レンズを抜いて元に戻せばいいと思えて気持ちが楽でした。
ICLメリット
・コンタクトをつける手間、外す手間、経費がない
1dayコンタクトを装用していましたが、地味に手間がかかるのが嫌でした。
また年間3万〜4万程度コンタクトレンズに支出していたので
単純計算で、4万円/年×20年=80万円 と20年で元がとれる計算です。
医療費控除で手術実施年の税金も圧縮できるので、より早く元は取れるという経済的メリットがあります。
・花粉症など眼のアレルギーを軽減(コンタクトレンズ装用者)
ハウスダストアレルギー持ちで、目がしばしばすることもしばしば。そんなときにコンタクトレンズを装用するときがきつくて、メガネも併用していました。このわずらわしさが無くなるメリットも大きかったです。
・医療費控除も使える(10~20万円程度)
具体的には、ICL手術を受けた年の1月から12月末までに支払った医療費を確定申告します。この医療費控除を適用することで、所得税が還付されたり、住民税の納付額が翌年度に軽減されるという節税メリットが期待されます。
確定申告を自ら行うという手間は掛かってきます。
【70万円のICL手術を受けた場合の節税額の一例】
■総所得300万円:およそ12万円の節税(所得税6万円、住民税6万円)
■総所得500万円:およそ18万円の節税(所得税12万円、住民税6万円)
■総所得800万円:およそ19.8万円の節税(所得税13.8万円、住民税6万円)
※会社員の方で、給与所得が唯一の収入源の場合、総所得は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄から確認することができます。
手術デメリット
・感染症リスク
目の表面を切開するため、術後の感染症リスクがあります。そのため、術後毎日4回殺菌剤や炎症を抑える目薬を点眼しつづけます。点眼薬は通常最低1カ月程度は継続するようです。
・術後3日以内は洗顔、洗髪、メイク禁止
上記感染症のリスクを低減させるため、術日当日を含めた3日間は洗顔、洗髪、メイクは禁止です。また目をこする行為や強く押さえる行為も禁止です。
・近視へ戻る
手術後長期的に屈折が変化し、近視側に戻ってしまう可能性があります。ただレーシックと比べICLでは長期的に近視に戻ることは殆どないですが、稀に眼軸が徐々に延長したり、白内障が進行することによって近視が進むことがあります。
手術前の年齢が高く(45歳以上)、近視の程度が強いほど近視にリバウンドが生じる可能性があります。
・夜間の見ずらさ、にじみ
夜間に光がにじんでみえたり、まぶしかったり、ライトの周りに光の輪(ハローグレア)が見える場合があります。通常術後1−3カ月すると症状はおさまる傾向にあります。
・乱視軸ズレ(乱視用ICLの場合)
術直後〜数日の間にレンズが回転しまう場合があり、その場合、乱視矯正効果が薄れてしまいます。そのため、その後、レンズ位置を矯正する処置が必要となる場合があります。
金額
私は両目へ乱視用のレンズを入れました。乱視用レンズは通常レンズより3万円程度高いです。
結果
レンズ代(75万円)
手術費用(5万円)
で総計80万円掛かりました。
詳細の体験記
手術前(当日)
手術1時間くらい前から2、3度散眼薬(目薬)(サンドール)を差します。その影響でまぶしかったり、近くの文字が読めなくなります。
抗菌薬も点眼しました。
また内服薬として、抗不安薬と眼圧上昇防止の薬を飲みました。
血圧の確認もしたのですが、緊張のせいか3回計り直して、深呼吸して、ようやく正常値に落ち着きました。
実際の手術
歯医者さんにあるような、背もたれのあるストレッチ型の椅子で施術されました。
●手術室に入る前に、麻酔の目薬(第一陣)を差しました。
手術室に入る時に、看護師さんに「いってらっしゃい」と元気に言われ、遊園地のアトラクションぽいなと思いました。
●椅子に寝かされます。頭が体よりちょい低い感じの体勢です。
・最初に、眼の周りにイソジン・ヨウ素的な消毒剤を塗りたくられます。
・目をずっと開くように、シールの付いたシート(オイフ)で目を固定されます。
【手術の流れ図解】(引用:金沢文庫アイクリニック)
●点眼にて麻酔します。
・ハイドロポンプのように、めちゃくちゃ目に麻酔を掛けられます。
●角膜に約1mmと3mmの切開を施し、眼のスペースを保つための薬を入れます。
・このあたりから世界はまっくらな中に、3つの小さいトライアングルをひたすら見つめる作業となります。
・深夜のドライブで、突然きた対向車のハイライトを見つめている気分でした。
・同じところをずっと見つめているかついろんな麻酔が掛けられているのでだんだん自分がどこをみているのかよくわからなくなっていました。
●その切開部分から、インジェクター(注射器)を使い折り畳んだICLを眼の中へ挿入
・この時、めちゃくちゃ目を押されている感覚があり、勝手に眼の焦点がずらされます。医師の指示としては、「押し返すように中央を見てください」と言われました。
・この前後で、針っぽいものが視界の隅にみえて、だいぶ恐怖感を覚えました。
●レンズの4スミのフットプレートを虹彩の裏の毛様溝へ固定します。
・器具でうにょうにょされたような記憶です。なにか触られているような感覚がありました。
●眼の中の薬を洗い流し、瞳を縮める薬を入れて、レンズが虹彩に引っ掛かっていないか確認
・水のようなものを丸々1分間ずっと掛けられます。
●創口を閉じて終了(基本的に無縫合で終了)
この作業が両目(左→右)で行われ、正味片目10分程度でした。
※乱視用のレンズを入れるときは、レンズを固定する位置が厳密に決まっているため、位置調整に時間がかかる場合があるようです。
※術中は、クラシック音楽がBGMで流れていました。
※術中は、今くしゃみがでたらめちゃくちゃヤバいだろうなという緊張感がありました。
手術後(当日)
●術後すぐは片目ずつ手術したのでタイムラグがあり、両目それぞれの見え方が違いました。
●術後1時間:じんわりとした痛みがありました。視界の3割程度が滲んでいました。
●術後1時間半:全体的にもやがかった感じです。散瞳剤の効果か、まだ近くのものはみにくいです。
●術後2時間:光源を見た時に光の輪が気になりだす。まだ光源が3つへ分身して滲む。
●術後2時間半:徐々に薬の効果が弱まってきて、近くのものが視えるように。まだ視界の縁のほうが滲む。
●術後4時間:光源の滲みがなくなってきた。丸い光の輪も徐々に見えなくなる左上縁の見え方に違和感。ちょっとボヤけている。
術後4,5時間あたりで退院、徒歩で帰宅しました。
外が曇っていたのでそこまで眩しくなくてよかったです。ちょっと眩しさを感じやすくなっている感じがあったのでサングラスがあるとベターです。
当日夜寝る時まで、目への刺激を防ぐため、医院から貸与されたゴーグルを装着していました。
夜、炭酸水を飲んでいましたが、薬の副作用で、普段とは違う変な苦みを感じました。
手術後(翌日)
●08時:左右の両脇がぼやける
●14時:左目だけ、コンタクトを装用しているかのような違和感(目を瞑ったときにまぶたの下に膨らみを感じる感覚)がある
●21時:コンタクトレンズがゴロゴロしている感覚がしばらく続く。
手術日の翌日、事後検査を行いました。術後良好、視力は元の0.01未満(度数−5.0程度)から2.0まで回復しました。
手術後(術後3日目)
以下のような症状はあるものの、術後良好です。毎日4回、3種類の目薬を挿しています。
・ハロー現象
昼間の明るい時間帯でも、光源を見つめると丸い輪っかがみえます。
(私はこのイメージよりくっきりとした円が1本だけ視えています)
(引用:安間眼科)
2,3年前にICLを手術を行った友人いわく
・暗い時の光源でしか発生しなくなる
・脳が慣れて、ある種盲点のように気にならなくなる
らしいので、そこまで心配していないです。とはいえ一定そのような視覚のキラキラした輪っかの感じは続くらしいです。
・ゴロゴロ感
体調や気分によりますが、コンタクトレンズを長く装用したようなゴロゴロ感を感じる時があります。現在、差し続けている4種の目薬の副作用の影響もあるため、今後の術後の影響を見守りたいと思います。
手術後(術後1週間)
1週間検診を受けてきました。術後良好とのこと。
術後、3種類の目薬を1日4回してきましたが、明日からは2種の目薬をあと1週間すれば目薬生活終了です…!
術後1週間後の感想です。
・若干のゴロゴロ感やかゆみは残る
術後数日よりかは改善しましたが、コンタクトレンズを長時間つけたようなゴロゴロ感は朝夜にあります。
かゆみについては、医師によると切開からの回復過程でみられるとのことなので気長に回復を待ちます。
・お風呂場の汚れが目につき、お掃除したくなる
基本裸眼で入浴していたので、お風呂汚れをほぼ認知してませんでしたが
ちゃんとみえるようになったので、お風呂掃除に取り組みました。
・気軽にお昼寝できる
コンタクトをしているときは、外すべきか逡巡していたのですが
今は、何の気もなしに寝られます。
・目が覚めたとき、知らない天井がわかる
手術後(術後1ヶ月)
・ぼんやり感じていた目の痛みが完全に無くなる
術後、2週間くらい感じていた目の痛み(軽く目を押さえると痛かったりした)が無くなりました。快適です。
・たまに目が痒い
寝る前や朝起きた時に痒いです。持病のハウスダストアレルギーとの見分けはついていないです。
・目が疲れやすい
これまでの矯正視力1.0程度から一気に2.0まで上げたので、目が疲れやすくなった気がします。この辺はそのうち慣れるかなと思います。
まとめ
手術後の開放感も相まって、術後数日ですが、施術してよかったなという思いはあります。
ただ、特有の恐怖があるので積極的には進め辛いです。
ただコンタクトレンズやメガネを持ち歩かなくていいので、これから旅行とか気軽な外出が楽になるんだろうなという期待感があります。
おわり