「うさぎとかめ」の現代解釈

童話「うさぎとかめ」の教訓を、従来の解釈にとどまらず発展させて考えます。

第1解釈(従来型)

かめは、自分よりも足が速いうさぎとの競争であってもコツコツと真面目に努力をして勝利を手にいれました。 

また、うさぎは最後に油断して昼寝して、かめに負けてしまいます。

このことから

  • (うさぎ側)敵が弱くとも油断せず、最後までやり通す
  • (かめ側)相手が誰であろうと、真面目に努力しながら取り組むことで、いつか大きな成果を得られる

の解釈がよく引き出されます。

第2解釈(目標型)

うさぎとかめが何を意識しながら動いていたかで、成果に違いが出たのだ、とする解釈です。

  • かめ ゴールを見ていた
  • うさぎ 相手を見ていた

受験や部活、就職などもそうですが、ライバルに勝つ/負けるではなく、自分の自己実現を図るために、きちんとした目標を設定すべきという文脈で語られます。

第3解釈(市場型)

一般にあまり聞きなじみのない解釈だと思います。

かめ側の視点に立つと、そもそもこのゴール設定は正しかったのか、ルールをもっとうまく設定できなかったのかという疑問が生まれます。

そこで、かめは持久力に自信がある・うさぎは飽きやすい性格であることが想定されるので、「走る」という競技においては

  • ゴールをもっと遠くに設定する
  • 時間無制限でどこまでいけたかを競う

というルールを変えることで自分に有利な勝負にできたのではないかと考えます。

あるいは、「走る」という枠組みを外して、目標地点に早く着くということだけを考えると車やバイクなどを活用するという手段も取り得ることができました。

 

実際の例でいうと、EUの自動車市場では2022年10月に「2035年に欧州域内で販売される乗用車と小型商用車の100%をZEV(ゼロエミッションヴィークル)にする」法案について合意するなどして、ハイブリッド車で市場を圧巻する日本車を排除して、EUの自動車会社に有利なようにルールメイキングしています。

参考:欧州が「2035年EV義務化」確定へ ハイブリッド天国の日本は「ガラパゴス」!? 国産各社はどうなるのか

 

もっと言うと

かめがうさぎと「走る」という競技で勝負を受けた時点で相当不利な状況に陥っていました。

自分が勝てる市場、例えば「泳ぎ」の勝負などに引き込むことも提案すべきだったと思います。

泳ぐ亀
ここから引き出される教訓は「自分が勝てる領域・市場をきちんと選ぶ」です。

相手の提案を鵜呑みにせず、いかに自分の有利な局面へもっていくかという交渉力の話でもあると私は解釈しています。

 

 

 

第4解釈(信頼型)

今流行りのAIが回答してくれるサービス「ChatGPI」にも聞いてみました。

「童話「うさぎとかめ」の新しい解釈や教訓を教えてください」に対しての回答が以下です。

「うさぎとかめ」という童話は、日本の伝統的な童話の一つです。この童話の主人公は、うさぎとかめという2匹の動物で、うさぎがかめを欺こうとしますが、かめがうさぎを言い訳ではなく、自分が欺かれたことを受け入れていることがわかります。

この童話は、短い文章で描かれていますが、深い意味が込められています。一般的に、この童話は、お互いを信頼することが大切であるという教訓を含んでいます。うさぎは、かめを欺くことで、自分を優越させようとしますが、これは無意味であり、結局は自分が欺かれることになります。

また、この童話は、相手を理解することが大切であるという教訓も含んでいます。かめは、うさぎが欺こうとしていることを理解していますが、自分が欺かれたことを受け入れることで、うさぎを自然に受け入れることができます。

この童話は、深い教訓を含んでいますが、新しい解釈もできます。例えば、「うさぎとかめ」は、私たちが日々の生活の中で直面する、様々な問題についての警鐘としても捉えることができます。私たちが問題を解決しようとする際、欺きや嘘は無意味であり、真実を受け入れることが大切であるということを教えてくれます。

「うさぎとかめ」は、日本の伝統的な童話ですが、その深い意味は、今日の社会にも当てはまると言えます。私たちが日常的に直面するさまざまな問題を解決するためには、信頼と理解が不可欠です。嘘や欺きを用いることで問題を解決しようとするのではなく、真実を受け入れることが大切です。「うさぎとかめ」は、そのような教訓を含んでいると言えます。

一言でいうと、「欺きや嘘は無意味。信頼が大事」という解釈をしていました。思いつかなかった視点なので勉強になります。

似たような解釈をNetflixのCEOも行っています。2022年のスタンフォード大学の卒業式で語った内容で、「うさぎとかめ」をモチーフとした講話を行いました。記事(https://logmi.jp/business/articles/326946)より当該部分を引用します。

ねtfぃx

 

「エリート:早期に成果を残す人」=「うさぎ」、「遅咲き:のんびりとしたキャリア形成」=「かめ」 と例えて、かめでも自分の歩みの中で着実に力をつけた結果、37歳にしてようやくNetflixを立ち上げることができたと語っています。

「いい話ではあるけれど、少しは休憩がほしい。4年間死に物狂いで勉強した。世界を救う前に、Netflixでも見てのんびりしたいよ」と。

(会場笑)

答えは、もちろんイエスです。ここで結論に移りましょう。みなさんは「ウサギとカメ」のお話を知っていますね。

ある人はウサギとなって、ベイン・アンド・カンパニーやグーグル、ゴールドマン・サックスなどの大手企業に入り、病気の特効薬を作ったり、30歳になるまでに10億ドルを稼ぐことでしょう。若い時に成功しても舞い上がらず、地に足をつけてください。

ある人はカメとなり、のんびりとしたスタートを切ることでしょう。なかなか先行きが見えなかったり、新しい分野での再スタートを強いられるかもしれません。5年後に校友会誌を見て、同期のように順調にいかない自分を省みては、そんな思考回路の自分を責めることもあるでしょう。

たとえみなさんがカメであっても、自分を受け入れてください。そんな時は、経験や知恵を身につけてください。後になってきっと役に立ちます。友人のウサギの成功を喜び、賞賛してください。そして、思い悩まないでください。年をとれば、お互いの異なる道を認め合うことで友情が深まります。

私は、どちらかというとウサギではなくカメでした。20歳になるまで彼女はいませんでしたし、大学卒業後は南アフリカのエスワティニ王国の高校で数学を教えていました。

スタンフォード大学院への入学時にはクラスメイトよりもはるかに遅れを取り、アフリカで過ごした年月を悔いました。でも今思えば、教師として直面した苦難を乗り越えてきたことで、レジリエンスと思いやりなど、良きCEOとしての資質が身に着いたように思います。

「やり抜く力 GRIT(グリット)」という言葉が流行りましたが、現代こそ表層の情報に流されることなく着実にやり抜く能力や素質が求められているのかもしれません。

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