昔、「ググレカス」という言葉がありました。
わからないことがあったら、人に聞く前にまず検索しろ。
私はこの言葉で、新人時代教育されました。ググレカス教育メソッド。
検索すれば出てくることを、わざわざ人に聞くな。
まず自分で調べろ。自分で調べる力をつけろ、そういう意味だったのだと思います。
では今は何かというと、
「AIを詰めろ」
検索しろ、ではなく、AIを詰めろ。
もちろん、検索がいらなくなったわけではありません。
最新情報、公式情報、税金、法律、広告媒体の仕様、企業の決算情報などは、最終的には一次情報を見ないと危ないです。
特にお金や命が関わる情報は注意が必要です。
ただ、普段の仕事や文章作成でいうと、いきなり検索するより、まずAIに投げたほうが早い場面が増えました。
・広告施策を考える。
・ブログ記事の骨子を作る。
・メール文面を整える。
・クライアントへの説明ロジックを作る。
こういう作業は、AIに投げるとかなり進みます。
ただ、みなさまご存じのとおり、AIは雑に聞くと本当に雑に返してきます。
それっぽいけど使えない。正しそうだけど薄い。
故に、AIは「使う」というより、「詰める」ものだと思っています。
※本記事ではAI=ChatGPTやGeminiのような対話型AI として話を進めています。
目次
AIは最初から正解を出すものではない
AIに対して、最初から完成品を期待すると度々外します。
たとえば、
「LINE広告の改善案を出してください」
「ブログ記事を書いてください」
「この施策をまとめてください」
みたいに投げると、たしかに何かは返ってきます。
でも、そのまま使えるかというと微妙です。
だいたい、どこかで見たことがあるような内容になります。
「ターゲットを明確にしましょう」
「訴求軸を整理しましょう」
「PDCAを回しましょう」
間違ってはないですが60点の内容で、使い道がないです。
公式の媒体資料のような内容で味気がないです。30分噛んだガムくらい味がしません。
こういう回答に対して、「AIは大したことない」と思うのは少し早い気がします。
AIが悪いというより、こちらの投げ方がまだ浅い場合が多いです。
AIは、最初から正解を出す相手というより、最初に雑な壁を作ってくれる相手です。
その壁に対して、こちらが「違う」「浅い」「もっと具体的に」「そこじゃない」と言っていく。
このやり取りの中で、だんだん使えるものになっていくことが多いです。
まず前提を渡す
AIを使うときに一番大事なのは、前提を渡すことです。
人間に相談するときも同じですが、背景を知らない相手にいきなり相談しても、まともな答えは返ってきません。
たとえば広告の相談なら、
・今どの媒体を使っているのか。
・予算はいくらか。
・CPCは高いのか安いのか。
・CTRが悪いのか、CVRが悪いのか。
・新規獲得なのか、リターゲティングなのか。クライアントに説明するためなのか、自分の整理用なのか。
このあたりを入れるだけで、回答の質はかなり変わります。
ChatGPTでは、プロジェクト機能を使って
あらかじめ前提情報をメモリに記載しておくと使いやすいです。
AIは、こちらの頭の中を勝手に読んでくれるわけではありません。
こちらが何を考えているか、何を嫌がっているか、どこに違和感があるかを渡して初めて、少し使える相手になります。
「違う」と言うのが大事
AIを使っていて思うのは、最初の回答に対して遠慮しないほうがいいということです。
AIは一発で当てるというより、こちらの違和感をぶつけることで精度が上がっていきます。
むしろ、AIの一番いい使い方は「自分の違和感を言語化すること」かもしれません。
AIが出してきたものを見て、
「なんか違う」
「これはきれいすぎる」
「ここはもっと泥臭い話にしたい」
「この結論は少し強すぎる」
その違和感をAIに返す。
すると、自分が本当は何を言いたかったのかも見えてきます。
嫌なクライアントになったつもりでネチネチ詰めてみましょう。
AIは叩き台を作らせるのが一番強い
自分の場合、AIにいきなり完成品を作らせるというより、叩き台を出させることが多いです。
ゼロから考えるのは重いです。
でも、AIが出した60点くらいの案に対して修正を入れるのはかなり楽です。
これは文章でも広告でも同じです。
その中から「これは狙いすぎ」「これは普通すぎる」と削っていく。
最後に、自分の体験や言い回しを入れていく。
AIに丸投げすると、AIっぽいものが出てきます。
でも、AIを叩いて、戻して、削って、具体化していくと、自分の考えに近いものになります。
あえて反論させる
こちらが「この方針でいきたい」と言うと、AIはその方針を補強する理由を作ってくれます。
そのため、あえて反論させたほうがいいです。
「クライアントから突っ込まれそうな点を挙げてください」
「この施策が失敗するとしたら、どこですか」
「逆の立場ならどう見えますか」
「かなり保守的に見るとどうですか」
こう聞くと、思っていたより嫌な論点が出てきます。
複数のAIを使って、互いに詰めさせる
AIを使うときは、ひとつのAIだけで完結させないほうがいい場面もあります。
最近は、複数のAIを使って、AI同士を詰めさせるやり方がけっこう使えると思っています。
たとえば、まずA(例えばChatGPT)に企画案を出させます。
そのうえで、出てきた案をそのまま使うのではなく、B(例えば、claude)に見せます。
そして、
「この案の弱点を指摘してください」
「論理が甘いところを挙げてください」
「実務上、失敗しそうな点はどこですか」
「クライアントから突っ込まれそうな点を出してください」
「もっと現実的にするなら、どこを直すべきですか」
と聞く。
すると、最初のAIがきれいにまとめた案に対して、別の角度から突っ込みが入ります。
さらに、その指摘をAのAIに戻して、
「この指摘を踏まえて、案を修正してください」
「弱点を認めたうえで、提案として成立する形にしてください」
「反論に耐えられる説明に直してください」
と詰め直す。
この往復をすると、最初に出てきた案よりもだいぶ強くなります。
最後は一次情報を見る
AIを使うほど、確認の重要性も上がります。
AIはそれっぽく間違えます。
知らないことでも、知っているように書きます。
特に危ないのは、変わりやすい情報です。
・AIで論点を出す。
・何を見るべきか整理する。
・そのうえで、公式サイト、一次資料、原文、管理画面、手元データを見る。
この順番が現実的だと考えています。
ChatGPTの場合、メモリに予め一次情報のリンクを参照し掲載するように指示をしておくと、一次チェックが楽になります。
AIを詰める技術は、問いを作る技術
結局、AI活用で差が出るのは、ツールに詳しいかどうかだけではないと思います。
・何を聞くか。
・どこまで前提を渡すか。
・どこで「違う」と言えるか。
・抽象論をどこまで具体化できるか。
・反論まで出させられるか。
・複数のAIを使って、互いに詰めさせられるか。
・最後に自分の判断に戻せるか。
昔は、調べる力が大事でした。
検索ワードを考えて、必要な情報にたどり着く力です。
当然ながら、現在もググレカスは大事です。
ただ、それに加えて、AIに何をどう聞くかがかなり重要になっています。
「ググレカス」の時代から、
「AIを詰めろ」の時代へ。
それができると、AIは単なる便利ツールではなく、自分の思考をかなり前に進めてくれる相手になります。

