【hagakure構造】リスティング広告のアカウント構造の考え方(GORINも追記)

リスティング広告における最も重要な要素であるアカウント構造。

 

ただ、2002年に、Google Adwords・Overture(現Yahoo!スポンサードサーチ)が

リスティング広告をリリースしてから既に10年以上経つ現在でも、

アカウント構造に関する議論が絶えません。

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しかしながら、Googleを先頭に、2013年頃から本格的に提唱しはじめられ、

大手代理店などにも浸透しつつ、“ある”アカウント構造の考え方があり、

これが段々と主流派になりつつあります。

 

これはGoogleAdwords、Yahoo!スポンサードサーチだけでなく、

YDN・GDNのディスプレイ広告にも通ずる考え方となっております。

 

背景には、入札機能の自動化や、検索クエリに合わせカスタマイズされた広告文を配信可能にした、媒体のアドテクノロジーの進化があります。

 

 

 

今回は、これまでのアカウント構造論争の歴史とともに

広告効果を最大化するアカウント構造に関してまとめます。

 

 

■これまでのアカウントの考え方

従来の考え方だと、

入札調整がしやすい且つ、狙ったKWへ狙った広告文を出すという狙いの元、

とにかく、アカウント構造を細分化する考えが顕著でした。

 

代表的な例では

2012~2013年頃に熱が高まったアカウント構成方法として

『1広告グループ1キーワード』があります。

※参考記事

その名の通り、

1広告グループごとに1つのKWで構成するという考え方です。

 

例えば、中古車販売の事業を展開している広告主であれば

「中古車 売る(完全一致)」

「中古車 売る(部分一致)」

「中古車 販売(完全一致)」

「中古車 販売(部分一致)」

などのKWを、それぞれの広告グループに振り分けて運用を行っていきます。

 

最大のメリット(と思われていたの)は

・KW単位で広告文を設定できる

・広告グループ単位で、KW単位の入札へそのまま反映させることができる

…つまり手動での入札調整が楽になる

でした。

 

ただ、このアカウント構成だと

・ある検索クエリに対してアカウント内でコンフリクト(衝突)が生じる

…検索クエリ「中古車 売りたい」に対して、「中古車 売る(部分一致)」「中古車 販売(部分一致)」が競合し、

ユーザーに対して一定の広告文を配信できない。

⇒意図通りの広告配信が出来なくなる、検索クエリと登録キーワードの完全一致率が下がる

⇒広告の品質スコア低下に繋がる

・広告グループ単位で正確かつ一定以上の量のデータが溜められない

…狙った検索クエリとは違うクエリを拾い、本当に成果の良い広告文やKWが見極められなくなる

また、細分化しすぎることで広告を統計的に評価できる量までデータが溜まるまで時間が掛かりすぎる

 

という重大なデメリットが生じます。

 

 

 

この 統計的に判断できる段階まで広告のデータを蓄積する

というのは、

 

・男女・年代別に入札調整ができるDFSA(Demographic for Search Ads)※β版

・再訪ユーザーに対して運用調整ができるRLSA(Remarketing List for Search Ads)

・時間帯/曜日別の入札比率

・デバイス/OS/地域などの入札比率

・広告のローテーション(CTRの最適化・クエリに対しての最適化)

など、媒体のターゲティングがより高度に細分化されていくにつれ

その最小単位である広告グループ(KWと広告文)はよりデータが蓄積される、粒度が大きい構造でなくてはなりません。

 

 

■これからのアカウントの考え方

 

2016年現在、主流の考え方は

『いかにデータを溜めて、いかに生かすか』という

データドリブン的な考え方へ移り変わってきています。

 

これに基づいて

Googleでは、『hagakure構造』というアプローチを提唱しています。

余談ですが『hagakure』の名前の由来は、

この提唱者である、Google株式会社の米満氏の出身地佐賀に由来しています。

江戸時代、佐賀の鍋島藩の山本常朝が武士道の在り方を説いた著書に、『葉隠れ』という本があったことから。

葉隠れ構造とは、一言でいうと

サイトディレクトリ構造に沿った、シンプルな形のアカウント構造のことを指します。

 

トップページ >大カテゴリページ >中カテゴリページ >詳細

という、サイトのディレクトリにあわせて

それぞれの階層の役割にあわせて、アカウント構造を対応させていきます。

 

単一LP商材の場合は、

なるべくKWの意味カテゴリで、キャンペーンや広告グループをまとめた構造を指します。

新しくキャンペーンを作る場合は、雑誌でいうところの『特集ページ』を作るに値するかという判断基準で見てください。

 

そのキャンペーンに一定数のユーザーが集まるのかどうかという点が重要です。

 

 

これまで広告グループ単位で、KWタイプを分けたり、

細かくKWで管理をしていたのは、入札管理のしやすさというメリットがあったと思います。

 

ただ、自動入札機能(コンバージョンオプティマイザー、ターゲットCPA)の性能が上がるにつれ、

このようなメリットも無くなりつつあります。

 

したがって

・同KWにも関わらず『完全一致』と『部分一致』で広告グループを分割する。

・impが出ないKWなのにも関わらず、1キャンペーンとして独立したKW群がある。

などはナンセンスなアカウント構造になっております。

 

商材にもよりますが、大手ネット広告代理店だと

すでに、1キャンペーン⇒10~30広告グループ⇒500~1000KWという、シンプルなアカウント構造を確立した上で

コンバージョンオプティマイザー機能(ターゲットCPA)を導入することが成果も出ており、王道となりつつあります。

 

データが溜まることでさらに自動入札機能の性能、媒体による広告文選定の判断精度も上がっていきます。

 

ディスプレイ広告の場合

検索広告の場合は、アカウント構造を統合していく方向ですが、ディスプレイ広告でも同じことが言えます。

 

細かく設定されたアカウントだと

300×250、720×90などバナーサイズ別や

テキスト広告、バナー広告、レスポンシブ広告など広告タイプ別で、

広告グループを分けて管理をされているアカウントもあるかと思います。

 

ただ、Googleとしても、

同じ場所・同じサイズの枠に対して、様々な広告(大きさ・種類)をテストして、

一番ユーザビリティが高い(≒CTRが高い)クリエイティブをあてていきたい意図があります。

 

ターゲティングが同様ならば、

すべてのクリエイティブを同じ広告グループに入稿して上げるほうが

より広告ランクが高いものが優先され、結果的に広告コストは節約できる結果へと繋がります。

 

広告集計/分析における統計的な考え方

Googleにおける広告運用は、

『検索クエリと広告を紐付けるビックデータの機械学習』だといえます。

 

その機械学習を支える、統計的な数学モデル/統計手法として、

Googleは『多腕バンディットテスト』を採用しています。

※Googleのヘルプはこちら

以下抜粋です。

 

◆そもそもの由来です

「One-armed bandit(片腕の盗賊)」というスロット マシンが複数並んでいる状況を模した仮説テストという意味を持っています。

スロット マシンのプレイヤーは、最も見込み配当率が高いスロット マシンを見つけ出す必要がある一方で、利益を最大化する必要もあります。

この状況では、これまでの配当率が最も優れているマシンのみをプレイするか、それともさらに配当率が高いマシンがある場合を想定し、別のマシン(配当率が劣る可能性もあるマシン)も試してみるべきか、というジレンマが生じます。

(中略)多腕バンディット問題に対処するために構築された高度な数学モデルを使用します。

 

◆バンディット方式の仕組み

1日に2回配信量の分け方を変えて、テストを繰り返しています。

アナリティクスでは 1 日 2 回、テストの状況に目を通して各パターンの掲載結果を確認し、各パターンに振り分けるトラフィックの割合を調整します。

成果の高いパターンにより多くのトラフィックを集め、成果の低いパターンはトラフィックを減らします。

こうした調整は、サンプル数と掲載結果を考慮に入れた統計上の公式(詳細は付録を参照)に基づいて行うので、偶然ではなく実質的な掲載結果の相違を確認できます。

テストが進行するに従い、成果の違いが浮き彫りになってくるので、最適なパターンを選択できる確率も徐々に高くなっていきます。

このような数学モデルに裏打ちされて、

ターゲットCPAや複数のクリエイティブの自動最適化が行われています。

 

■まとめ

 

●大きな流れとして、imp・データを溜めろという流れがある

※CVOP(ターゲットCPA)を発動させることを前提として。

 

●少なくとも、同じ広告文・同じURLならば同じ広告グループにすべき。

 

●1つの広告グループに3~5本の広告文を入れ、Adwords側に最適化を任せる

 

●Google・Yahoo!ともにサイトのディレクトリ構造にアカウント構造に合わせろ、といっていることから、

単一LPでの集客ではなく、サイトのそれぞれに割り振るのがリスティング広告では理想となるかも。

【参考URL】

検索連動型広告の広告グループ細分化についての1つの目安

元Google社員が語る、AdWords成功の秘訣

 

よければこちらもどうぞ

Adwordsでは、検索クエリ⇒KWではなく、検索クエリ⇒広告という仕組みになっている

… Adwordsの仕組みから最適なアカウント構造を考えてみました。

 

 

追記参考:GORINプロジェクトについて

GoogleがGORINプロジェクトと称して推進しているものも、

このHagakureと同じ思想の上にあります。

 

【参考】Adwords公式 学習資料

Google が理想とする AdWords 検索広告の最適化 -GORIN プロジェクト-

 

ただ、まずそもそもの前提として認識しなければならないのが

機械学習を活用する という点です。

 

Adwordsでいう機械学習とは

・入札自動化機能(コンバージョンオプティマイザー、正式名はTarget CPA)

・広告の配信最適化(ディスプレイキャンペーンオプティマイザー、広告のローテーションにおけるCTRやCVRでの最適化など)

などが上げられます。

 

この機械学習を十分に活用するには

規模・予算の大きいアカウントで無いと中々、このGORINの思想の実現は難しいように思えます。(Adwords単体で最低月50万円以上の運用額でしょうか。。商材や業界によるとは思いますが)

 

ただ、たとえ小額運用であったとしても、

『アカウント構造を単純化し、広告グループレベルに情報を集約化』などの

その基本的な考え方のフレームワークは理解して進めるべきだと思います。

 

 

もちろん、予算が大きいかつ、KWや広告文が多岐に渡るアカウントならば

このGORINの思想を実践しない理由はありません。

 

以下図を引用します。

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このGORINの図解はかなり綿密に設定されています。

 

そもそもの基礎に

『アカウント構成』の思想があり、

 

その上に

●『リーチ』  …日予算キャップで抑えないなど。配信機会を最大化させる設定をする。

●『ターゲティング』…確度の高いユーザーへ確実に配信する。RLSAとか。

●『広告フォーマット』…推奨される広告フォーマットや広告表示オプションはなるだけ全部入れましょう。

という3つの概念がぶらさがっています。

 

そこで、

これらのアカウント構成と3つの概念の上で

ビジネスのステージに応じた指標のもと、PDCAを回していく、というフローとなっています。

 

 

筆者としては、効果測定の部分で

『指標』に着目している点は重要だと思っています。

 

アドテクノロジー業界全体がこれまでのCV、CPAの一本釣りの指標から、

アトリビューション分析で本当に価値ある媒体へ投資しようとする流れがあります。

 

Googleも一大広告プラットフォームとして

ビュースルーコンバージョンであったり、デバイスをまたいだコンバージョンの導入に取り組んできました。

 

 

ただ下記のような記事でいわれているように、まだ実際の効果を追いきれていない部分はまだまだ有ります。

【参考記事】

リターゲティング広告は実はそこまで成果を出していない。皆がハマる効果計測のワナ

ただ、きっと今より使いやすい指標を、今後Googleはリリースしてくるかと思います。

Adwordsというツールとしての実現可能性と、本当に為すべきマーケティング施策としての理想が

5年後、10年後ますます近づいていく予感がしています。

おわり